昨日、神奈川県経営者福祉振興財団様主催の講演で(株)樹研工業の松浦社長の話を聞いてきた。
100万分の1グラム世界最小の歯車で有名な工場だ。
従業員100名程度の比較的大きな中小企業。
どちらかというと枠からはみ出た若者を採用し、60歳を越えてからが名人だと定年制度無し。
人件費は単なる経費ではなく、人間への投資であると。
上場を目指さず、株主には配当もない。 当然経営者にも賞与は無しだ。
この社長が凄いのは、予防できる所は徹底的に手を打っておく所だ。
宮城県石巻市にある東北工場はこのたびの震災で被害ゼロ。
設備にはアンカーボルトを打ち、棚の中は高さの合った書類しか置かない。
たったそれだけの事だが、これだけで地震の揺れによる被害が無かったのだ。
人にしても株主にしてもそうだろう。
自分がやらなくてはいけないと思った事を、株主や社内の了解を得て、なんてやっていたらスピードも遅いし、だいいちつまらない。
そうならないように、手を打っているのだ。
もうひとつ気になったのは、海外企業と日本企業の法人税の違い。
当然日本の方が高い。 場合によっては倍程も高い。
そうなれば内部留保なんて夢のまた夢。
内部留保がなければ設備だって雇用だって躊躇してしまう。
一方海外では、設備も人もどんどん増やせる。
経営をやっていく上でこの差は大きい。
日本はまだ大丈夫、なんて悠長な話はしてられないと。
しかし、そんな立派な経営者であっても、リーマンショック後2年間は赤字だったそうだ。
先期ようやく黒字復活したのだが、この震災の影響はそれに含まれていない。
今期はどうなることやらと言われていた。
さて、我々中小企業経営者はこの先どうすれば良いのだろう。
海外に打って出るのもひとつ。
自社商品を開発するのも良い。
だが、余裕がある内に準備をしておかないと、ジリ貧になってからでは出来ることではない。
現状は、そんな状態の中小企業がほとんどではないだろうか。
そしてもうひとつは、経済構造を変えることだ。
個人事業者含む中小企業数、約432.6万社。 全企業数の99.7%にもなる。
この中小企業が経済の中心であることは間違いない。
ここに関わる人達が今、舵を切らないとレミングねずみになってしまいそうな気がするのだ。
こぞって大手の生産部隊が海外に行った後でも、中小企業だけでまわせる経済を作りたい。
そのために中小企業連合を作りたいのだ。
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