この写真は鋳造(ちゅうぞう)で出来たアルミ鋳物(いもの)だ。
大型で薄肉のこのアルミ鋳物は、旭鋳金工業で作られた。
大きさは約1000mmで、厚みはわずか4mm。
しかも肉厚の片寄りが無く、均一の厚さで出来ている。
従来は板金で作られていたのだが、デザインを追求していくと板金だけでは不可能、またはとても高価なモノになってしまう。
そこでアルミ鋳物が見直された。
鋳物の場合、木型(きがた)さえあればどんな形でもできる。
板金プレス用の金型は必要ない。
薄肉で出来るため軽量にもなる。
この写真が鋳物の原型(げんけい)となる木型。
三次元のCADデータから切削加工した。
昔は姫子松(ひめこまつ)を使っていたのだが、最近はケミカルウッドが用いられる。
天然木と違い、木目が無い。
そのため、逆目(さかめ)を気にすることなく自由に切削加工が出来る。
この木型を元に、まずは砂型(すながた)をとる。
砂型は木型の反転でとるため、凸凹逆の形となる。
また木型には、表面側、裏面側の2型が必要だ。
固まった砂型を慎重に崩れないように木型から外し、表面側、裏面側の砂型を合わせる。
砂型が合わさった状態で、隙間に熔解したアルミを流し込む。
この隙間が製品の厚みとなるわけだ。
砂型の精度が良くないと厚さ一定に出来ない。
そして砂型の精度は木型にかかってくる。
木型屋と鋳物屋がそれぞれ手間を掛けて、型を作り上げないと良い製品は出来ない。
写真の鋳物は、お客さんからの評判がとても良い。
この製造方法で新型の注文が相次いでいる。
木型と鋳物、昔からの技術ではあるが、忘れ去られた業種でもある。
この組み合わせにITを取り入れものづくりをすれば、きっと今まで思いつきもしなかったジャンルへ発展していくと感じている。
技術の伝承は待っているだけでは出来ない、自らを守るため職人にも攻めの気持ちが必要だ。
地球連邦軍に採用される日も近い??
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