生命保険で債権回収

重い話題で申し訳ないが、借金を命で払っている人のニュースが目についた。


毎日新聞の記事より

 消費者金融10社が債権回収のため借り手全員に生命保険を掛けていた問題で、大手5社で支払いを受けた件数が昨年度1年間で延べ3万9880件あり、このうち自殺によるものは判明しているだけでも3649件に上ることが分かった。この保険の支払い状況が明らかになるのは初めて。全体の件数の中には死因が分からないものも多く含まれており、借り手の自殺によって消費者金融に生命保険金が支払われた件数はさらに多いとみられる。多重債務者が自殺に追い込まれている深刻な実態が浮かんだ。
中略
 この保険は「消費者信用団体生命保険」と呼ばれ、大手消費者金融から借り入れる際、契約と同時に借り手を被保険者とする加入手続きが取られている。借り手が死亡した場合、保険金は消費者金融に支払われる。契約後1~2年以上たったケースでは死亡診断書などの提出を省略できるため、3万9880件の中には死因が不明のものも多数含まれている。金融庁は、保険金が支払われた総数に占める実際の自殺件数の割合は10~20%に上るとみている。

つまりは借金を命で精算した人の件数は表に出て来ないで意外と多いということだ。
どういう借金だったのか、なんでそんな保険に入ったか、または入らされたか。
それぞれ事情は違うだろうが、まさに命がけでやってきて、最後の最後に死んで精算。
取り立てるほうは、人の命よりお金の方がよっぽど大事なのだ。
明治時代より前には切腹という精算の方法があった。
新渡戸稲造の「武士道」の中では、
「そもそも殊に身体のこの局部を選んでこれを切るのは、すなわちこれを以って霊魂及び愛情の宿る所となせる、いにしえの解剖学的信仰に基づくなり」
魂や心は人の腹に宿ると信じられていて、それを切り裂いて見せよう、ということである。
そして武士らしく切腹で死んでいく人たちには尊敬の念と名誉が与えられた。
しかし記事の自死は、ただ、ただ、他人のお金のため・・・
犬死にするためにそれまで一生懸命生きてきたのか?
腹を決めたら、腹を割って話そうじゃないか。
腹をくくった者同士。
はたして現代はそれさえも許さないのか。
死して屍拾う者なし